あそびっと

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2015年5月11日
[DCC]

Tam Valley Depot の Train Shuttle を使う


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これはDCCのロコを往復運転するシステムで、米国Tam Valley Depot社の「Train Shuttle」という製品.
http://tamvalleydepot.com/products/trainshuttle.html
私はこのホームページから購入した.
価格は79.95ドルで他の商品も合わせて送料は25ドル、計12,000円程度だった.
各国のコンセントに合わせた電源プラグが付いているので、日本でもそのまま使える.


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基盤むき出しの本体幅は12cmほどで、逆転ボタンとスピードのボリューム、停止時間調整のボリュームが3個ついている.
操作できるのはこれだけで、他のDCCコントローラーとは連携しない.
アドレス指定はなく、2桁アドレスのロコならどれでも動く.


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付属の説明書は、上の「線路との接続図」と「Md端子の接続図」が載った1枚だけ.
ギャップを車輪が通過すると、そこでロコが停止したのち後進し、反対側でまた停止・前進に切替わる.
停止時間はボリュームで調整できる.
Md(Mid)端子は、さらに途中駅のギャップでロコが停止・前進するようになっている(はずだった).
要するにパネルの逆転ボタンと基本機能は一緒で、E1とE2の検知で逆転し、Midは一時停止する、という仕組みだ.
E1もE2もギャップ通過を検知すると、5秒程度再検知を無視するだけで進行方向は判断せずに、見かけ上はちゃんと往復する.
機能はシンプルだが、ロコによってギャップ上で止まったまま動かなくなるものがある.
ロコの前後に貨車をつなげるとうまく働くので、ギャップの通過検知に問題があるようだ.
それから、AとBの出力に関して、上の説明図の記載は逆だと思う.


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このシステムはA図のように、ロコの車輪がギャップ上を「一瞬通過する」のを前提に、それを検知している.
B図の状態で停止すれば問題ないが、C図のように、台車で電気的につながった2輪がギャップをまたぐと「一瞬」より長い時間ギャップを短絡するので、ロコは異常停止する.
異常停止というのは、サウンドがギーというノイズになってそのまま動かなくなる.
その時にシステムの出すDCC信号をみると、正常な波形をしていない.
A図の状態で「停止」しても同様である.
両側絶縁したSLの先輪とか、片側絶縁の絶縁側の車輪がギャップを通過すれば、システムはうまく働くので、先輪のあるロコに貨車を引かせれば、ほぼ順調に往復運転できる.
だが惰性で動輪がギャップの上に来たら、異常停止してしまう.
B図で正常に停止するかC図で異常停止になるかは、ロコの状態次第で要するに運まかせである.
Mid端子を使った駅停車は、ギャップ上を動輪も通過するので「当然」ロコは異常停止して機能しない.
この問題は購入したこの製品の不良かもしれないが、いずれにしろこのままでは使えない.


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色々対策を考えて、「一瞬接触」すればいいのだから、ギャップ通過の代わりにこんなスイッチを作ってみた.
これでうまく働くが、調整が微妙なのと、何よりカッコが悪いのでボツにした.


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結局、ギャップ通過を別の方法で検知してTrain Shuttle(T.S)に渡すインターフェース(IF)装置を作ることにした.
車輪がギャップをまたいだ時に発生するDCC電流を整流してリレーAをONにし、次にリレーBをONにする.
ABリレーONのタイミングずれで「一瞬接触」を再現してT.Sに渡す.
LEDはチェック用で、車輪がギャップをまたいでいる間点灯する.
このランプが点灯する直前に「一瞬接触」パルスがE1端子に入り、T.Sの赤ランプが点滅し、停止・逆転が働く.
また、E1の代わりにMid端子を図の(G)点につなげば、途中駅で一時停止の機能が正常に働く.
ただし両端の逆転と途中駅停車を同時に使うには、このIFがもうひとつ必要になる.


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ギャップの改良.
回路図のように、旧ギャップの外側にもギャップを切り、その先に給電する.
これは、ロコがギャップを大きく越えて停止し、そこで電気が切れて動かなくなることを防ぐ.
特にフライホイールを内蔵して「スムース」に走るロコには必須である.
ただし、万が一検知できずに暴走したときは止まらなくなるので、車止めを付けたほうがいい.


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ブレッドボードに回路を組んでテストする.
調整箇所は何もない.
意外にすんなり動いた.


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部品をプリント基盤に組み込んだ.
手持ちのパーツを使ったので、抵抗の数が多い.
パーツの費用は全部で1,000円以下だと思う.


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上は動作のようす.(QuickTime動画 19秒 8MB)
引いている2軸のカブースは絶縁車輪なので、このIFでは検知しにくい.
このため、左側のギャップは回路図の(C)端子につないで、T.S側の検知で逆転するようにしている.
だから後進時はIFのLEDが点灯しない.


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秋葉原で買ってきたケースに入れて、電源スイッチを付けた.
これで完成.


エンドtoエンドで自動的に往復運転できるなら、線路をエンドレスにせず、狭い範囲でロコを動かすことができる.
これは画期的なことだと思う.
このシステムはロコの速度をあらかじめ変えられるが、速いと不自然な急停止になるので、ゆっくり走らせて短い距離で使うのがいい.
走行中に汽笛を鳴らすとか、ファンクションの制御ができないのが欠点.


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