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2016年3月12日
[DCC]

自動運転で機回し

列車が終着駅で折り返す際に、機関車を列車の後尾に連結し直す作業のことを「機回し」(きまわし)と呼ぶ.
ターンテーブルのような反転装置がない場合、機関車はバック運転になる.
この機回しを模型で自動化できれば、エンドtoエンドの線路で、"ほったらかし"運転ができる.

asoLoChg02C

上図のような線路構成で、列車はA駅とB駅で機回しをして、両駅間を往復する.
ポイントはP1〜P4の4ヶ所、センサーはS1〜S6の6ヶ所、磁石によるアンカップラー(連結器解放)はM1,M2の2ヶ所必要になる.
図の青数字はセンサーアドレス、赤数字はポイントのDCCアドレスである.

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3m×2m程のパネル上に、HOのユニトラックを並べたテスト線路.

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ポイントは全てKATOのユニトラック電動6番で、DS51Kデコーダーを組込んである.

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アンカップラーは、Kadeeの磁石をはめ込み済みのユニトラック製品を使った.

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自動運転には、前回紹介したDSmainR5とセンサーとWindowsの「Desktop Station」ソフト(=DSアプリ)を使う.
今回S1,S2,S4,S5は、S88 Control基板による光センサーを使い、S3とS6はギャップセンサーを使ったが、全部光センサーでも動作する.
ただし、アンカップラーに関連するS2とS5をギャップセンサーにすると、ロコの停止位置をうまく調整できない.

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車輌はBACHMANNのOn30で、光センサーの反射板として、列車の床下に白色プラ板を両面テープで貼り付ける.
バック運転で列車を引いた時にも同様の検知をするために、反射板は4ヶ所必要になる.(A図R1〜R4)
貨車/客車を3輌以上つなぐ場合は、R3とR4の間に連結する.

asoLoChg03-s

自動運転のイベントは、センサー毎に記述するので、
slow_through (センサー1,4)
un_cup_again (センサー2,5)
end_stop_back (センサー17,21)
の3種類がA,B駅用で、計6個ある.

「機回しのイベントファイル」サンプル

テキストファイルになっているので、「.txt」を「.xml」に変更し、DSアプリのEVファイルとして読み込む.

列車からみた各イベントの動作
AutoLocoChg160306-s

(1) S1がR1を検知したら、ロコを減速する
(2) S2がR1を検知したら、A図の位置でロコを停止する
この時、連結器がアンカップラーの上に来るので、ロコは一寸後進/停止して貨車を突き放しする
カップラーが解放され、その後ロコだけが前進する (B図)
(3) もしこの時、S2がR3を検知したら、"連結器が解放されていない"ので、ロコを停止させる
その場合は、手動でカップラーを外してB図の状態にし、ロコを手動で前進させれば、イベントは引き続き動作を継続する
(4) S3がR1を検知したら、ロコを停止し、ポイントを側線(機回し線)に切替えて後進する
(5) S1がR2を検知したら、ロコを停止し、ポイントを本線に切替えて前進する
(6) ロコと貨車が連結した後、S2がR3を検知したら、ロコを停止する (C図)
(7) このあと、連結完了した列車が後進で発車すると、再びS1を通過するので、この時は汽笛を鳴らす
(8) センサーS1〜S3と、対向駅BでのS4〜S6の動作は、基本的には同じである
 ただしロコの前進と後進で速度が違う場合は微調整が必要.

●S1とS2で起動するイベントは、ロコの状態によって機能が異なるが、これはフラグの値でコマンドを切替えている.
●光センサーは車輌側のどの反射板(R1〜R4)でも反応するので、余計な検知は無視する必要がある.
 例えばR1を検知後にR2を検知しても、イベント動作中ならR2検知は無視される.
 不要な検知を無視するために、WAITコマンドでイベントの終了を遅らせている場合、WAIT時間を短くすると誤検知→誤動作になる.
●この機回しイベントで最大の課題は、ロコをアンカップラーの定位置に停止させることで、そのために「slow_through」での減速速度、「un_cup_again」の停止までの時間と一寸突き放しの時間等を、0.1秒単位で調整する.
 ロコや列車の構成ごとに走行状況が異なるので、それぞれ微調整したイベントを作成する必要がある.
●停止コマンド(SPEED=ゼロ)を出しているのに、なぜかロコが止まらない場合がある.
 デコーダーがコマンドを取りこぼしている?と考え、SPEEDコマンドの後にWAITを入れた.
●ロコの一連の動作がどこかでおかしくなった時は、列車の位置とフラグを初期状態に戻してやらないと、その後の動きがぐちゃぐちゃになる.
 DSアプリは「停止」して「開始」すると、フラグの値を0にセットするはずだが、まれにリセットされない時がある.
 また各イベントは、フラグの値を9にセットすると"何もしない"ようにしてある.
 このため、フラグの値を0に戻すイベント(flag_set0)と、9にセットするイベント(flag_set9)を作ったので、余っているセンサーのポートにつないで使う.

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Kadeeの永久磁石アンカップラーは、幅が狭いnonDelayedタイプと幅広のDelayedタイプがあるが、幅広のほうがいい.
アンカップラー上で停止すると、上写真のようにカップラーが開いて解放される.
ある程度の速度で通過すれば、カップラーは外れない.
上写真の状態で左のロコが右へ進めば、連結しないまま貨車を押して突き放す、いわゆるトッポウができる.
カップラーの解放は、KaDeeの金属製に限らず、McHENRYのプラ製でも動作するが、同じメーカーの同じタイプ同士のほうが確実に働くようだ.

ここで利用したBACHMANNのOn30 4-4-0 ロコは、前進/後進とも速度にバラつきがあり、しかも日によって調子が違うので、自動運転で定位置に止める調整は難儀だった.
カップラーが解放できなかった場合、ロコはベルを鳴らして停止するので、人手で解放して続行させる.
デコーダーを含めたロコの調整次第だが、何時間も"ほったらかし"運転で機回しというのは、むずかしいと感じる.
肝心なのはカップラーの解放なので、アンカップラーの場所で止めるのでなく、任意の位置で解放できる車載のDCCカップラーがあればいいと思う.

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